賃貸退去時、敷金が足りなくなることってあり得るの?
賃貸物件を契約する際、敷金が設定されている物件では、敷金を仲介会社経由で管理会社に預け入れることになります。
敷金は預入金=担保金という意味合いが強く、入居期間中に「夜逃げ」「家賃滞納」等をしない限りは、退去時返金される費用となりますが、ただし預け入れた敷金は「全額返金」されることはありません。

敷金の相場は家賃1か月~多くて2か月がいいところ。ペット可物件では3か月設定されている所がありますが、敷金を預け入れている物件においては…
敷金−(室内クリーニング代+故意による修繕代)=返金
となります。
最近では、借主側も「退去費用」を抑えるために、入居期間中は「丁寧」にお使いいただいているとのことで、借主負担となる修繕費用はそれほど発生していないとのこと。
もし故意による原状回復費用が発生しない場合には、預け入れた敷金の内、室内クリーニング費用を引いた金額が返金されますが、ただ借主負担となってしまう修繕費用が発生した場合には、敷金の金額を上回ってしまう恐れが出てくるので、結果的にはマイナスになってしまいます。(特にペット可物件は要注意です)
では借主側過失による修繕とは、どのようなものがあるのでしょうか?
①壁紙にタバコのヤニや黄ばみが付着

換気不十分な状態で、室内でタバコを吸うと、壁紙がヤニを吸ってしまい、ニオイや黄ばみが強くなって、クリーニングでは取れなくなってしまいます。
この場合には、汚れた壁一面分の費用を請求されます。なお、減価償却は考慮されません。
②カビを放置した結果、壁紙が汚れた場合

借主には室内をきれいに使ってもらうという「善管注意義務」があります。カビが室内に発生しているのにも関わらず、掃除をせず放置させてしまうと、善管注意義務違反となり、汚れてしまった壁一面を交換しなくてはならなくなります。
③引っ越しなどで発生した壁・床のキズ

引っ越しなどで、家具や家電を移動させている最中、誤って壁や床に傷をつけてしまうと、これは借主側の責任になってしまい、退去時に修繕費用を請求されます。
なお、入居前にあったキズなどは対象外です。
④浴室にカビが発生した場合(短期間入居の場合は要注意)

浴室は湿度が高い状態となっているので、カビが生えやすい場所と言えます。
浴室のカビ対策としては「浴室換気扇を常時つけっぱなし」にして換気を徹底させるしか方法はありません。ですが、どうしてもカビを全て予防することはできませんが、短期間(1~2年)で退去した場合で、浴室のゴムパッキンなどにカビが付着していると、場合によってですが、善管注意義務違反となってしまい、修繕費用を請求される恐れがあります。
⑤室内クリーニングでは落としきれない汚れがある場合

室内クリーニングは退去後に行われます。普段から掃除をされている場合、通常のクリーニングで室内がきれいになりますが、ただ掃除を怠けすぎていると、通常の室内クリーニングでは対応できない場合も出てきます。このような場合には追加料金が発生することもあるので、注意が必要です。
⑥入居前に渡された鍵を紛失してしまった場合

入居される前に、仲介会社から部屋のカギを渡されますが、渡されたカギは退去時全て返却することになっています。もし1本でも無くした場合には、交換費用を請求されますので、紛失しないようにお願い致します。
預け入れた敷金が足りなくなる場合は、入居期間中に「故意による破損や汚損」をさせてしまった場合のみで、入居期間中にきれいに使用して頂ければ、退去費用が高額になることはまずありえません。
ただ一点注意が必要なのは、オーナーさん自ら管理している物件。
自主管理物件といいますが、自主管理物件の場合、オーナーさんが退去精算をすることになるので、適切な計算をしてくれるかは、正直オーナーさん次第。もしあまりにも高すぎる退去費用(故意による破損や汚損は除く)となった場合には、消費者生活センターなどに相談されること、またその場でサインなどはしないことをおススメします。