一般的な賃貸借契約の契約期間は「2年」となっています。
どうして2年となっているのかについては、借地借家法が関わってきます。
同法29条によると、普通借家契約で契約期間が1年未満となってしまうと、「期間の定めがない建物の賃貸借」とみなされてしまい、通常退去する場合「1か月前連絡」となっている所が多いのですが、それも難しくなり(この場合だと3か月前連絡となる)さらに管理会社としても、更新料を設定している物件においては、期間の定めがない契約となってしまうと、更新料設定ができないといった、新たな問題が発生します。
また契約期間を3年にしてしまうと、長すぎるという指摘が問題視されてしまうので、間を取って2年間としている物件が多いというのが正直なところです。
地域や物件によっては、更新料設定がないところがありますが、ただ大部分の物件においては、更新料設定されている場合が多いです。更新料設定がある物件において、更新料を支払うことで、賃貸借契約がさらに「2年間延長」することができますが、ご入居者様からの立場で考えた場合、住み続けるのにどうして費用負担しなければならないのか、疑問に感じている方は多いはずです。
では、もし更新料を支払わないと、更新することができないのか?また更新料減額に関して、入居中に交渉することができるのかについて、お伝えさせてもらいます。
目 次
1.賃貸更新料の相場とは?
更新料はそもそも、一部地域(首都圏・近畿圏)などで「古くから慣習」として設定されていたもので、それが全国的に広まったもの。
このような事情もあるので、更新料設定がある物件でも、地域によって費用が全く異なっています。例えば首都圏にある賃貸物件は、大手管理会社の本社が「東京都」にある関係で、首都圏の考え方で更新料設定をされているケースが多く、因みに当物件がある山梨県では、一部の物件を除き、更新料設定がされているケースが多く、「家賃1か月分」が相場となっています。(なお居住用の場合、更新料は非課税対象となります)
なお、近畿圏において「大阪府」「兵庫県」では、更新料設定がそもそもないので、更新する時に更新料が発生することはありませんが、同じ近畿圏でも「京都府」は、更新料設定があり、更新料は「家賃1.4か月」(平均)となっているので、ご入居者様にとっては、頭が痛くなってしまいますね。
2.更新料を支払わないと、どうなる?
更新料設定がある物件では、更新月の数か月前までに、管理会社の方から「更新手続きに関する書類」が届きますので、更新する場合には「手続きを行った上で、更新料を支払う」と、契約期間がさらに2年間延長されます。
では、もし「更新料支払いするのはおかしい!」と主張し、更新手続きをしないまま(更新料を支払ない)で、更新日を超えてしまった場合、契約自体が満了となるので、「自動的に退去しなければならないのか?」と思われがちですが、そうではありません。
万が一更新をしないまま、契約期間を満了してしまうと、借地借家法26条が適用され、「更新前の賃貸借契約」と同じ条件で契約更新をしたものとみなされ、このことを「法定更新」といいます。
このような話をしてしまうと、今の部屋は気に入っているが、更新料の支払いはイヤだと思った時には、「法定更新をすれば、更新料支払いが無くなる」という考えをされる方がいますが、残念ながら更新料支払いは必ず行ってもらうことになります。
(1)法定更新になっても、更新料支払いは残っている
万が一にも、法定更新となったとしても、「契約時に結んだ賃貸借契約書」に…
法定更新をされた場合でも、更新料○○円を支払う
といった記載があれば、更新料支払いをする義務が発生してしまうため、法定更新したとしても、更新料支払い義務は残っています。
(2)ブラックリスト掲載されてしまう可能性が
近年では、契約時に「家賃保証会社に加入」することを「入居条件」としている物件が多いのですが、契約時に保証会社に加入された方の中で、法定更新をしてしまった場合、管理会社は保証会社に「代位弁済請求」をすることが可能となることから、管理会社及びオーナーさん的には、保証会社が一時的に更新料分を「立て替えて支払ってくれる」ので、何ら問題はありません。
しかし、代位弁済請求をされた時点において、保証会社においては「信用情報機関に信用情報を登録」してしまうことになります。所謂ブラックリスト掲載されてしまい、すぐに保証会社に支払うことによって、ブラックリストになってしまっても「軽微な滞納」という判断をしてもらうことができますが、無視し続けてしまうと「重度な滞納」という評価をされてしまい、今後賃貸物件を借りる際には、非常に不利になってしまいます。
(3)契約解除される可能性がある
可能性としては「少ない」のですが、賃貸オーナーさんには、正当事由が認められれば、賃貸借契約を解除することが可能となります。
更新料設定が賃貸借契約書にあり、契約前に「更新料支払いを含む契約内容」に同意している以上、更新料支払い拒否をすること自体はできないことから、更新料支払いを拒絶し続けてしまうと、オーナーさんは「正当事由がある」ことを理由に、契約解除を申し入れることがあります。
ただ、実際契約解除する場合には、司法判断を仰ぐことが求められるので、裁判で白黒をつけることになります。
3.更新料減額交渉は可能?
更新料設定物件においては、更新するたびに更新料をしはらうことになりますので、ご入居者様としては、更新時に交渉して何とか安くできないか/もしくは無料にしてもらえないか、交渉したくなるものです。
交渉すること自体は可能ですが、では管理会社・オーナーさんが、交渉内容を認めてくれるのかどうかというと、残念ではありますが「受け付けられない」可能性が極めて高くなります。
どうして認めてくれない可能性が高くなるのかというと、一人のお客様に「更新料を無料化」にしてしまうと、他のご入居者様にも「同様」のことをしなければならず、賃貸経営上の観点から見ても、好ましくはない事であるため、ご入居者様のお気持ちは十分理解できるものの、断られる可能性が高くなります。
4.更新料無料物件は怪しい
更新料が設定されているエリアにおいて、更新料が無料になっていると、当然ではありますが、お客様にとっては「更新時に余計な費用が発生しない」ので、歓迎すべき物件といえます。
しかし、本来であれば更新料が発生する物件なのに、更新料が無料であるということは、何か裏があるのではという推測がどうしても発生してしまいます。
実際、更新料が無料物件で発生している「デメリット」としては…
毎月の家賃に「更新料の月割り分」が加算されている物件がある
初期費用が高めになっている
訳アリ物件になっている可能性
更新時に家賃値上げを請求する可能性
このようなケースも考えられることから、更新料が発生しているエリアでは、更新料は「必要経費」という考えをもたれたほうが、結果的には良い物件に入居することができる可能性が高くなります。
5.まとめ
賃貸物件において「更新料が設定されている」場合においては、賃貸更新の度に「更新料を支払う義務」が発生してしまうので、仮に法定更新をしたとしても、賃貸借契約書において「法定更新した場合でも、更新料の支払いを行う」旨の記載があれば、更新料を支払わなければならなくなります。
もし、どうしても更新料支払いが嫌な方は、最初から「更新料設定がない物件」に入居する以外は方法はありません。
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